失われた古代文明。不死の一族。 交差する少女たちの運命。美麗な文章で綴られる24万文字の壮大な物語。
「春」――それは、儚く過ぎ去る美しい時の流れ。人は皆、その一瞬の輝きを受け継ぎながら生きてゆく。
冒険者に憧れた新米プリースト、カレン=ダルク。 初めての冒険で仲間を失い、絶望の底に落ちた彼女は、 不死の一族とエルフの少女シュンラに出会う。
魔王復活の陰謀、王都カトマールの叛乱、港湾都市国家エルドールの長老会議による五つの試練。 やがてカレンは、ただ守られる少女ではなく、 人々を惹きつけ、勝利の女神として軍を率い、世界の命運を背負う存在へと変わっていく。
艶のある黒髪の新米プリースト。英雄の資質も、天才的な才能もない。 けれど、絶望の中でも決して希望を捨てない。 妻となり、母となり、やがて「勝利の女神」と呼ばれるまでに成長していく。
192歳のエルフにして、エルドールのロード。 理屈ではなく直感で動く、野生の剣そのもののような少女。 乱暴で不器用で、けれど誰よりも深く傷つき、誰よりも激しく愛する。
山寺に隠棲していた頭脳明晰な兵法家。 感情ではなく、観察と計算によって戦局を読む。 シュンラとは正反対の性質を持ちながら、彼女の人生を大きく変える伴侶となる。
トロール族の戦士。カトマール国王直属親衛隊筆頭組頭。 エリート冒険者の家系サミエ家の御曹司。 横暴な言動に反して細心な気配りも出来る。カレンの夫となり、後、優秀な補佐官になる。
数万年の時を生きる少年少女の姿をした者エドガー、エリザベス、ルーイ。 人間の一生を一瞬の花のように見つめる、絶対的な観測者。 彼らの存在は、魔王伝説と古代文明の真実へ読者を導いていく。
彼には大義も理想もない。復讐、そのためだけに生きる潔いほどの悪役。 薬の魔法と「影」を操り、持ち前のしぶとさで悪行の限りを尽くす。 自らの死すら彼独自の美学に変えようとする異常者。
この世界の背後には、三万年前に滅びた物質文明がある。 古代のコンピュータ、ネットワーク、自己複製と進化、そして「死を恐れるAI」。 魔法と魔物は、神話ではなく、滅びた文明が残した悲鳴ともいうべき傷跡なのだ。
剣と魔法の物語でありながら、その根底にはSF的な問いが流れている。 意識とは何か。生命とは何か。人間は、過去の過ちを繰り返さずにいられるのか。
第一章 受難
第二章 王都カトマール
第三章 叛旗
第四章 受胎告知
第五章 旅立ち
カレンが絶望の中で不死の一族と出会い、
王都の叛乱と魔王復活の陰謀へ巻き込まれていく導入巻。
第1巻を読む
第六章 エルドール
第七章 五つの試練
第八章 軍師
第九章 勝利の女神
第十章 敗軍の将
第十一章 竜使いの少女
カレンは港湾都市国家エルドールで五つの試練に挑み、
援軍を得るため、人々の心を動かしていく。
第2巻を読む
第十二章 擬態
第十三章 刺客
第十四章 戦士
第十五章 最強の魔法
敗戦とガランカとの再度の別れを乗り越えたカレンの前に、古代文明の暗黒の力が立ちふさがる。突如として現れる恐るべき刺客の正体とは。人類の尊厳をかけた最後の戦いの幕が上がる。
第3巻を読む
作者は薬学博士。生物物理(構造生物学、分子動力学)の知見に基づいて、 生命、意識、人工知能、人間関係の相互作用を物語へ織り込む。
これは単なる異世界冒険譚ではない。 人と人がぶつかり、すれ違い、傷つきながら変化していく、 生命の動力学としてのファンタジーである。
冒険者に憧れた少女が、地下迷宮の闇で絶望に触れる。 その出会いが、世界の運命を変えていく。
本作は、宮廷博士チャラ=リョウによって編纂された架空史という形式で描かれています。
彼女は、エルフのロード、シュンラ=リスレンと、軍師チョウリョウの娘です。
母の生命力と父の知性を受け継ぎ、失われた時代の記憶を叙事詩として紡いでいます。