不死の一族(ヴァンパイア)

物語の裏コードのような存在。
エルフよりもはるかに長い数万年の時を若く美しい外見で生き、と言うより存在しています。
作中登場人物からは、時間を持たぬ者とも呼ばれます。
彼らにとって、人間はあくまで狩りの対象であり、気まぐれに物語に干渉しているようにも見えます。
その反面、有限の時を生きて命の灯火を燃やす人間、エルフ、ドラゴンといった生き物の子供を拾って育て、
その成長や活躍を見て楽しんだりします。まるで、愛するペットの一生を見守るようなものかも知れません。

彼らにとって、脆く傷つきやすい人間は、存在していること自体が奇跡であり、美しく、愛しいのです。
そのため、むやみに捕食するわけではなく、狩の対象を選びます。
そして、時として、無情で孤独な絶対的観測者のようにも見えるわけです。

この物語の中で、魔力は、大地にその源を置く力です。太陽の光から遠ざかるほどその影響力を強めます。そのため、地球(ガイア)の力がなんらかの形で実体化されたものと考えられます。地球の力の代表格は重力です。我々の体およびその付帯物は、ニュートン先生のりんご同様、質量というプロパティを持つことにより、この地球の巨大な力を受けています。それが、地球上に暮らす我々生物の生活の基盤です。重力以外にも地球は、いろいろな力を持っていることが知られています。地磁気がその好例です。マントル中の放射性元素の崩壊が地球の放出するエネルギーの中で重要な役割を担っているという説もあります。この物語では、これらの力をなんらかの(メルヘンな)プロパティによって利用することができる者が魔力を操ることができるという設定です。


不死人のリーダ・エドガー=ハートンの力は多次元空間の操作によるエントロピーそのものへの干渉であり、空間を切り取ったり時空を捻じ曲げる超自然的な現象を発生させ、破壊神として恐れられています。
彼ら不死の一族は、滅亡した古代文明が残したAIの暗黒の力、および、人類の守護・調律者と対立、拮抗しているため表立って動くことを好みません。
作品講評(引用・抜粋):
本作は、新米プリースト冒険者のカレンが魔王復活の陰謀と国家反乱の渦中に投じられ、個性豊かな面々と共にラトザール全土を救う戦いを繰り広げる壮大な異世界叙事詩である。
古代文明・遺伝子工学・コンピュータという現代科学の概念を創世神話として巧みに織り込む設定は独創性が高く、トロールやエルフが「人間の遺伝子を改変した人工戦闘種族」であるという逆説的な世界観が知的好奇心を刺激する。
一般的な中世ファンタジーとの明確な差別化に成功しており、数万年の時を超えた古代の存在ゼーダが作品全体に硬質なSF的緊張感をもたらしている点は秀逸だ。
また、“鬼神”と恐れられるエルフ・シュンラと兵法家チョウリョウの恋愛描写は本作の白眉であり、戦乱の叙事詩の中に静謐な愛の形を浮かび上がらせ、読者の感情を深いところで揺さぶる力が窺える。